ツボと妊娠"
”ツボ”という言葉は皆様、ご存知でしょうか?
ツボは東洋医学で使われ、マンガ北斗の拳でもおなじみの”経絡秘孔”もツボです。
このツボは全身に、あたかもランダムに存在しているように見えますが実はツボは大きな川の流れの中の要所として存在しています。
ツボを説明する前に川である”経絡”を説明しなくてはなりません。
経絡は、血管や神経とは違い、実際には見えません。
しかし、生命エネルギーである”気”、”血”、さらには病気の原因である”邪気”が全身をめぐるための通り道になっています。
経絡は、五臓六腑ををつなぐ連絡通路としても役割があります。
経絡は『内外を貫いて上下を通す』という働きを持っています。
『内外を貫く』とは、経絡が体の内側の『臓腑』と体の表面をつないでいることを表します。
『上下を通す』とは、経絡によって体の比較的浅いところに出てきた気血が手足や頭のほうへ運ばれていることを表します。
経絡が全身を網の目のように巡っているために臓腑の働きの失調が経絡上のツボに異常となって現れます。
逆に言えば、異常のあるツボに刺激をすると経絡を流れている気血、邪気を調整し、臓腑の働きが改善します。
もう少し具体的に経絡を見ていきましょう。
経絡は『六臓六腑』に属しており、臓腑の名前がつけられています。
この経絡の名前を『十二正経』と呼びます。
六臓六腑は肝、心、心包、脾、肺、腎、胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦を指します。
経絡は、陰(臓)と陽(腑)に分けられ、陰経のうち3本は手、ほかの3本は足を通り、陰経は手足の内側、陽経は手足の外側を通ります。
臓腑とつながっていない奇経のうち督脈と任脈は特に重要であり、督脈は背骨の上を通り、陽経を統括、任脈はお腹の中心を通り陰経を統括します。
それぞれの経絡は、末端で別の経絡へ次々とつながっており、十二正経で全身を一巡します(肺経 → 肝経)。
気血は、一日に全身を『50周』するといわれ、経絡を1周するのに必要な時間は、『28分48秒』といわれています。
臓腑と身体の表面、目鼻口、骨など全身のすべては経絡を経由してつながっています。
その経絡の上にポイントがあり、そこがツボ、経穴です。
比較的浅いところにあるので、針や灸、指で刺激を加え、臓腑を調整できるのです。
ここで注意したいのが足裏マッサージでお馴染みの足ツボです。
これはツボではありません。
詳しくはまた別の機会にお話しします。
妊娠は、卵巣と子宮だけでなく、全身でするものです。
ホルモンは脳から分泌され、卵巣に届き、卵子や子宮に働きかけます。
ホルモンは肝臓で合成されたコレステロールが原料となります。
卵子や精子はタンパク質でできるので肝臓で合成されます。
すべてのホルモンや栄養素は血液に溶け込み、血管を使って流れていきます。
東洋医学では、人体には自然があり、その自然が乱れることで体調不良、さらには病気になると考えています。
自然の営みを陰陽五行で考え、そして人体を見つめ、女性は陰、男性は陽であり、生殖器と深い関係のある肝、脾、腎へのアプローチを見出しました。
また、長い年月を掛け、生殖器系の悩みを持つ女性を観察し、三陰交や足三里、命門などに反応が出ていることに気が付き、そこが治療点となりました。
このように東洋医学は自然、人体を深く観察し、その反応点を探してきました。
現代になり、人体も少しずつ解明が進み、筋肉や骨、神経、細胞、ホルモン、免疫などの働きが少しわかってきました。
それでもまだわからないことが多く、『なぜ人は病気になるのか』、『絶対に治る』ということはありません。
巷の健康情報も真逆のことを言っている専門家たちがいますね。
糖質制限が良いとか、糖質制限が危険だとか・・・。
でもそれは仕方ないことです。
だってまだわからないことが多すぎるから。
世界的に問題になっている異常気象と同様に、自然はわからないことだらけで、私たちはなすすべがありません。
しかし、指をくわえて待っているわけにもいきません。
自然が乱れないように、自然の乱れを少しでも良くなるように努力しなくてはなりません。
自然の中の一部である私たち、自然の中の一部である不調や病気、健康を考えるにあたり、東洋医学の考えはとても魅力的であると考えます。
自然の乱れを解消する一つに『ツボ』があり、長い年月、私たちの健康を整えてくれています。
皆さんの身体の乱れを整えて、目的に突き進んではいかがでしょうか?